ガンに多い精神的ストレスとその対処法 私たちの身体には、外的億襲から身を守る免疫免痩機能が備わっており、身体に悪いものが少々入っても、乗り越えられるようにできています。 たとえば、体温や水分を自動的に調節し、身体を環境に適応するように変化させます。 疲れたら、休息のために眠くなります。不必要なものは排泄します。そうやって生命を維持しているのです。 人間にはそうしたすばらしい機能が備わっているのに、病気になってしまうのはなぜでしょうか。その能力を超えるほどの過剰な負担を身体に強いてしまうからです。さまざまな要因が複合的に作用して免疫力を低下させ、代謝障害を起こし、ガン遺伝子ができていきます。意外に思われるかもしれませんが、ガンの原因のなかでももっとも大きなウエイトを占めているのが精神的ストレスです。私の調べたところで、ガンの原因としてウエイトの大きいものから並べると、精神的ストレス、体内汚染、慢性持続性感染、水と食の問題、電磁波などの環境因子、そのほかとなります。『免疫革命』などの著書で知られる安保徹教授も、「ストレスは交感神経の緊張をもたらし、その結果、顆粒球が増加して活性酸素がふえて組織に傷害を与え、免疫機能を低下させます。それが、ガンの大きな原因です」 と述べています。さらに、「ガンの患者さんはリンパ球の割合が三〇パーセントを下まわる(正常な人は三五〜四一パーセント、絶対数にして一マイクロリットル中二一〇〇〜三〇〇〇個)免疫抑制の状態にあるが、治療などによって三〇パーセントを超えると自然退縮が始まります」 とも述べています。しかしながら、リンパ球の割合も絶対数も正常範囲内にありながら、強烈なストレスがかかると短期間にガンが発生する人もいます。強烈なストレスは急激に身体の機能をガタガタにして、ガン細胞を短期間に増殖させてしまうのです。ガンの原因のなかで物理的なものは比較的対処しやすいといゝスますが、心の問題は個人的な要素が強く、一筋縄ではいきません。ガンを増長させないための心のもちようとは、どのようなものでしょうか。 ガンにかかわる精神的ストレスは、大きく分けて、我慢・辛抱、恐怖心・劣等感、信頼の喪失、絶望感の四つがあります。これらについて、どう対処したらいいのか考えてみましょう。 ●我慢幸抱− いい人を演じない 免疫力を低下させる精神的ストレスのなかでもっとも多いのは、自分の感情を抑えて必要以上に我慢や辛抱をすることです。 日本にはまだ、我慢や辛抱を美徳とする価値観が根強く残っています。そのため、自分の意にそぐわないことがあっても、どうしても我慢してしまいがちです。また、まじめな性格の人ほど、「人間、辛抱が肝心だ」とばかりに、心身が悲鳴をあげているにもかかわらず過酷な状況に身を置いてしまう傾向があります。 ●くたくたに疲れているけど、ここで自分だけ休むわけにはいかない。もうひとがんばりだ。 ●こんな仕事をするのはイヤだ。でも、1司の命令には逆らえない。自分の気持ちを抑えつけてでも従わなければなるまい。 ●自分にも意見はあるけど、周囲の反発を買うかもしれない。イヤなヤツだと思われたくないから黙っていよう。 ●もう限界だ、この仕事からリタイアしたい。でも、周囲の期待を裏切ってしまうわけにはいかない。自分が我慢すればすむことだ。辛抱しょう。 ●イヤなことばかり押しっけられて、損な性分だ。でも、そんな自分を周囲は「いい人」だという。我慢して雑用係に甘んじるしかないのかな。 こんなふうに、日々、我慢・辛抱を重ねている人は少なくないでしょう。もちろん、ときには我慢や辛抱も必要です。なにか達成したい目的があるのなら、そのプロセスにおいて我慢しなくてはならないことがたくさんあるでしょう。そういう我慢や辛抱ならいいのです。その先に達成感や充実感、幸福感があって、自分から求めて試練に耐える道を選択したのであれば、エネルギーはプラスの方向に作用し、ストレスもさほどではありません。逆に精神的にタフになれるメリットもあります。 しかし、先の例にあげたような我慢・辛抱はしたくありません。なぜなら、周囲の思惑や評価に振りまわされているだけで、自分の気持ちが後ろ向きだからです。 自分の気持ちに反する我慢・辛抱をすると、どうしても自分に理不尽なことを強いる他人や社会を恨んだり、憎んだりするようになります。自己嫌悪に陥ることもあるでしょう。つらいだけの人生にイヤ気がさすかもしれません。それは大きなストレスになって、身体をボロボロにします。 ある女性が皮膚ガンと診断され、セカンドオピニオンを求めて私のところへやってきました。 「病気には必ず原因があります。その原因を除くことがもっとも大切です。そのなかで大きなウエイトを占めるのは、精神的な要因です。病院での治療は継続していただくとして、原因を除いて免疫力を回復させることを考えましょう」と、私がいうと、 「そういえば、私はずっと本来の自分と葛藤するような生き方をしてきました」と、その女性は答えました。 本来の自分と葛藤するような生き方をしていると、身体を流れる生命エネルギーに混乱が生じ、免疫力を含めて、すべての機能が低下するといっても過言ではありません。 では、どうすれば本来の自分と葛藤しない、自分らしい生き方ができるのでしょうか。 私たちは、それぞれ独自の個性、能力、特徴をもって生まれてきます。その特徴を最大限に生かし、自分自身に誠実に生きることです。自分は何をしているときがいちばん楽しいか、どんなことに本気になれるか、だれかに遠慮していないか、などと考えてみると、自分自身に誠実な生き方ができているかどうかわかるでしょう。 だれかにいいたいことがあるのにいいだしにくいとき、思いきって、「相談に乗っていただけませんか」と切り出してみるのです。人は頼られると気持ちがゆるみ、心が開くものです。そうして自分の正直な気持ちを伝えると、相手の共感が得られ、あとの展開がスムーズに進むことがよくあります。いいたいと思ったときにいう、そのタイミングを逃さないことが大切です。いいたいと思うのは、いう必要があるから思うのです。逆に、本来の自分にそぐわない生き方をしていると、後悔、罪悪感、苦悩、良心の呵責、寂しさ、元気が出ない、やる気が起こらない、といった代償がもたらされることになるでしょう。私たちの寿命はたかだか百年です。周囲の思惑や、会社、人の評価を気にして いい人″を演じる必要などさらさらないのです。 ●恐怖心・劣等感 − 目の前のことに全力投球 過ぎてしまったことを後悔して、ああすればよかった、こうすればよかったと嘆いたり、なにかにつけて先々のことを心配して、どうしよう、どうしようと心が休まる暇もなく悩んでいたりする人もいます。忘れたい、思い出したくないと思えば思うほど、蘇ってくるのが忘れたい過去でもぁるので、たしかに厄介です。反対に、なにかいやなことがあったら、忘れようとせずに、「忘れまい」と心に刻み込んだほうがいい場合もあります。 どんなにいやなことにも、学ぶべきことはあります。それを十分に学ばないままにしていると、いつまでもいやな思い出として尾を引いてしまいます。 「あのことは、決してムダな経験ではない。なにか学ぶべきことがあるはずだ。それを探してみよう」と思い直してみるのです。しつかり思い出して、さまざまな立場や視点から眺めてみてください。そして、どうすればよかったかを考え、「こんな思いを二度としないですむように生きていこう」と決意するのです。自分にとって大事なのは過去ではなく、いまどう生きるかなのです。過去は今後につながる土台となるものです。すべての過去が積み重なってこそ、堅固な石垣となり、その上に自分らしい城が築けるのです。 |
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仲よし小道 三苫やすし作詞 河村光陽作曲 |
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