タロットは大アルカナと言われる22枚のカードと、小アルカナと言われる56枚のカードで構成され、Arcanum=秘密・秘儀、と言った意味。
 
 大アルカナ22枚+小アルカナ56枚=78枚という構成が、現在のスタンダードなタロットの一デッキである。
 実際に占断を行うにあたっては、大アルカナ22枚だけを扱う場合、大小78枚全部を扱う場合などがある。これは各人のレベルや占う事柄によって変わるものであるが、やはり最終的には78枚全てを用いた占いが出来るようになりたいものです。

タロットは、ごくふつうには未来を予測する占いの道具として用いられています。しかし、それ以上にタロットは自分の深層意識を探るためのツールとして評価されてもいるのです。スイスの心理学者カール・ユングもタロットが、まるで夢のように心の奥底を照らし出すということをしっていて、ときおり使っていました。
現在でも、欧米の心理療法家のなかにはタロットをセラピーのための道具として用いている人もいるくらいです。
私達は、物質的・感情的・精神的・霊的な経験を積みながら様々な人生を旅し、いろいろな「気付き」を得て成長していく存在です。

私達は、新しい人生に生まれてくる前に、次の成長の目標・課題のようなものを設定し、それらを達成するために適した時代や環境、育ってくる過程での刷り込みや条件付け等を選び、いろいろな人々や出来事に出会うように計画してくると考えてみて下さい。でも、肉体を持って生まれ落ちると同時に、物質的な世界に関することが顕在意識の大部分を占めるようになり、その目標や課題、計画は、潜在意識の奥深くにしまわれ、肉体を離れるまで、思い出すことは困難になります。

さて、こうして、自分が設定したゴールなのに、そこまでの地図をどこにしまったのか、いや、ゴールがどこにあるかということさえ忘れてしまった新しい冒険、あなたの人生が始まります。
何となくおもしろくない、うまくいかない、落ち着きが悪い、不安だ、等という感じは、きっと、全体的な「自分」からの、「自分が選んだ道から、はずれているよ。」という、シグナルなのかもしれません。あるいは、今までの自分の価値観が、もはや今の自分には窮屈な足枷のような心地悪いものになってしまっており、新しいもっと広い視点から眺めなおしてみたら、というメッセージなのかもしれません。

物質的・感情的・精神的・霊的な面での成長のナビゲーターとして作られているタロットカードについて学ぶことにより、自分が作り出してきた価値観や、今の時代・社会の常識等に埋もれてしまっている本当の「自分」に気付くきっかけが得られることと思います。
あなたのエッセンスのようなものにふれることができ、人生の「傾向と対策」のようなものが把握できるでしょう。
今、出会っている困難な状況の意味を垣間見ることができたり、今、出会っているソウルメイトをより良くサポートできる方法を見つけることができるかも知れませんね。
●タロット・カードについて
タロットカードは、カバラ、グノーシス等、西洋神秘学の教えを図解している「生命の樹」に基づいて作られています。小アルカナは、スフィアと呼ばれる球に、大アルカナは、スフィアを結ぶ小径に対応しています。
タロットカードには、22枚の大アルカナと、ワンド(杖)・カップ(聖杯)・ソード(剣)・ペンタクル(金貨)の4種のスート各14枚の小アルカナが含まれています。これら78枚のカードは、一枚一枚異なった個性があり、更に、正位置と逆位置では、異なった状況をあらわし、それぞれ独特のメッセージをあなたに伝えてくれます。

小アルカナ
小アルカナは、ペンタクル・物質的な面(地の性質)、ソード・精神的・知的な面(風の性質)、カップ・感情的な面(水の性質)、ワンド・霊的な面(火の性質)の4つのスートそれぞれの面における以下の成長の段階をあらわし、それにかかわるメッセージが込められています。
各スートの数札は、それぞれの面における以下の成長の段階をあらわしています。
●始まり,全ての存在の源、 男性・父性原理,エネルギーとその放射、意志、能動的な知恵、 女性・母性原理、理解と受容性、 2を受け入れた3によりもたらされた建設,創造, 成長により窮屈になった4を一旦壊すこと、混沌と破壊、 5の破壊により得られたより高い意識、 6の高い意識によって得られた感情・直感・心霊的能力、 7により得た知性、最も高められた形においては,普遍的な真理の認識、 霊的な超越のために必要な潜在意識の認識、 9までの学びを済ませた物質・現実的な存在、

人物札は、キングは火・霊的な性質・父親

クィーンは水・感情的な性質・母親、

ナイトは風・知的な性質・若者・兄、

ページは地・物質的な性質・子供・妹、

をあらわし、各スートの持つ性質と組み合わされて、それぞれ独特の人物や状況をあらわします。

大アルカナ
大アルカナには、小アルカナの4つの面を総合した全体的な存在としての成長の段階、禅の悟りの状態のような状態や覚醒に至る道筋にかかわるメッセージが込められています。
●タロットの大アルカナの各カードは、以下の成長の過程が示されています。

0. 愚者は、旅人、無知の知、盲目的な動きと全ての可能性、

1. 魔術師は、意志の力を用いて、物質、知性、感情を自在に操り、現実化すること、

2. 女教皇は、霊的な世界からの啓示の受信機、チャネル、

3. 女帝は、新しいものの創造、対立する原理の緊張を調停する統合の原理、

4. 皇帝は、女帝と共に宇宙を創造し、「理(ロゴス)」で支配する行動の人、

5. 教皇は、女教皇が得た啓示を、現実的な生き方に反映させる方法を教える教師、

6. 恋人達は、人生の選択の時、

7. 戦車は、光と闇、導き・正しい意志と誘惑・欲望のかけひきを制御する能力、

8. 力は、意志の力による支配、

9. 隠者は、自分の内にある光や教師との出会い、真理の探究のはじまり、

10. 運命の輪は、運命の輪の回転,真理の探究が深層意識への探索へと深まっていくこと、

11. 正義は、因果応報、カルマ、バランスの認識、

12. 吊るし人は、逆境にあって、異なる視点から人生を眺めること、

13. 死神は、吊し人の内観によって得られた、古い自己の死、再生、夜明け前の一番暗い時間、

14. 節制は、試練や誘惑を受けても一定の状況に自分をコントロールしていく能力、

15. 悪魔は、皇帝であらわされた理による支配や建設的な活動の破壊、真理の誤解による束縛、

16. 塔は、成長のために古くなってしまった構造を破壊し、閉塞した状態に光を入れること、

17. 星は、静かで揺るぎない確信を持った内なる希望の星の導き、

18. 月は、星の希望に対する予感と不安、

19. 太陽は、理想に向かう順調な成長

20. 審判は、最終的で決定的な審判、覚醒、

21. 世界は、魔術師の現実化の能力と8力の意志の力が統合され、自分および世界の物質的・感情的・知的・霊的な調和と秩序の中で、自分の本質を表現すること
●逆位置の解釈
逆位置は、正位置の状態に達する前の状態か,正位置の状態が過ぎつつある状態をあらわします。例えば,ワンドの3は、ワンドの2の状態が終わって,ワンドの3の状態に向かっているか、または、ワンドの3の状態が終わりつつあり、ワンドの4の状態に向かい始めていることをあらわしていると考えられます。

カードを持っていらっしゃらない方は、代用品として、ココのカードを厚みのある紙に印刷し、切り取って使って下さい。
ココのカードには、カードのスート、番号、カードの名前が表示してあります。(絵は入っていません。)
各スートの5や大アルカナの12、13、15、16等、ネガティブな印象のカードを引くと、がっかりしてしまわれるかもしれませんが、その必要はありません。カードについての項に記したように、これらは、大きな成長や、より進んだ理解を得るために必要な段階で、次のレベルまで高く飛び上がるために身を屈めているような状態であると考えられます。

タロットカードのリーディングには、メッセージを込められた一枚一枚の絵から得られるインスピレーションが大切なので、後々、自分で使おうと思っていらっしゃる方には、書店などで購入されることをお薦めします。小アルカナが、トランプのような数札のものではなく、そのカードの意味を象徴する絵が描かれているものが良いでしょう。
使い方をマスターすると、78枚タイプのものは、自分の潜在意識にあるものや、問題の背景になっていること等を詳細にみることができ、良いカウンセラーになってくれます。
タロットカードに関するコラムも、ご覧ください。
リーディング・クラブ・ココは、特定の宗教団体には一切関係しておりません。
宗教は仮想現実の一種であると考え,その刷り込みが行われる前の「自分」に出会っていだたきたいと願っております。
● タロットの解釈
名もなき若者が、小さな袋をひとつ手にして、放浪の旅へ。行くあても連れもなく、足元には一匹の小犬が。
愚者と呼ばれているこのカードは、ものごとがなにも固まっていない状況を象徴しています。
無限の可能性や自由気ままさ、永遠の少年や少女を暗示。
テーブルの上には宇宙を構成する4大元素を支配するという伝統的な魔術道具、棒、杯、剣、金貨が。
そこで杖を振りかざしている魔術師の姿があります。まさに魔法を実行しようとしているのでしょうか?
新しいスタートや技術力、強い意志を意味しています。

静かに座っている女教皇。物静かで沈黙のうちになにかを守っているように見えます。
このカードは何か言葉にできないもの、胸のうちにそっと秘めておくべきことがあることを暗示しています。ロジカルな思考よりも直観に頼るべきというメッセージもあります。
ゆるやかなローブをまとって、ゆったりと座っている女性。母なるものを象徴するカードです。
母性本能や快楽、豊穣を暗示。「子供」のように大切にしたいなにかが生まれつつあるという意味も。愛しい人をかわいがりたいとか、仕事の成功の可能性もあります。

畏怖堂々と玉座に座っている皇帝は、父性原理を象徴。玉座の羊のレリーフは牡羊座で、強力な統率力を暗示。
なすべき事を考え、それを遂行してなにかを達成することで自分の存在感を主張しようとします。強い責任感と社会の秩序を守ろうとする力を表します。
カードの絵には高位の聖職者であることを示す十字架に、指の祝福サイン。教皇は有能な指導者やスピリチュアルな先達がいることを示すものだとされてきました。
信仰や、よいアドバイス、知識を通しての成功や約束、契約、人生哲学などを暗示するカードです。

天空から恋人たちの様子をうかがう天使がいます。天使からの矢というインスピレーションを得て決断を下すという暗示。なにか人生の岐路に立たされているのかも。
迷いを通しての知識や愛情の深まりを暗示。ストレートに恋の可能性を示すこともあります。
タロットに描かれている戦車は凱旋車。つまりすでに勝利を手にした将軍が歓喜に包まれて街を行進する姿なのです。
ですから、このカードは勝利や栄光、称賛を象徴。ただし、それらを得るためには、戦いや課題をクリアする必要があることも暗示しています。

右手に剣、左手に天秤を持つ女神は、ヨーロッパにおいて正義や法を表します。
客観的に物事を判断すべきというメッセージです。感情的になりすぎていないか、自分の立場だけを考えていないかなど公正さやバランス感覚の重要性も暗示しています。
マントに包まれた老人が杖とランプのあかりを頼りに闇の中を歩いていく。
伝統的なタロットの解釈では賢明さや忍耐、慎重さ、そしてひとりでなにかをなし遂げるとされています。このカードが出たら、やたらと人に頼らず、自分でなにができるかを考えて!

ヨーロッパの神話では運命の女神が車輪を回して運命の糸を紡ぎだしているという「運命の輪」という観念がしばしば登場します。
運命の輪は人の力ではどうしようもない強制力を感じさせられます。偶然から始まる転機や運命的な出来事を象徴しています。
恐ろしげなライオンを手なずけているのはたおやかな女性。
力の本質はいわゆる暴力的に支配する「力」ではなく、相手を自由にコントロールすることだということを示しています。そのことから受容や勇気、余裕、コントロールという意味となります。

木に吊るされた男性。でも、その顔は苦しんでいるでもなく、穏やかでオーラさえ放っている。ちょっと不思議ですよね?
このカードは宙ぶらりんの現状を表し、それをどう受け入れるかを問うています。自己犠牲や中途半端な状態、ダブルバインドなどを暗示。
このモーチフは中世の末期ごろ、ペスト流行後に現れた「死の勝利」という絵画を踏襲したもの。
不吉な印象ですが、それだけではありません。すべてに終わりは訪れるのが宇宙の理。古きものを手放しすことで次のステップに進めることを示唆しています。

ヨーロッパではとても伝統的なシンボルで、「節度」や「節制」を示す寓意画。一方の杯からもう一方の杯へと水を一滴も漏らさずに移しかえることで節度ある行動を象徴。
水は心のエネルギーの象徴。他者との理解や交流、妥協の必要を暗示しています。
中央には悪魔。手には情欲を表すたいまつが。鎖で繋がれているのは悪魔の誘惑に負けてしまった人間の姿でしょうか?
心理学的には悪魔は自分の中にある自分が認めたくない心の一面。それを意識することが求められています。誘惑や欲望という暗示もあり。

塔は文明の象徴。それが雷という自然の一撃で崩壊しています。
それまで堅固な構造を持つと信じられていたものが崩れさる暗示。信頼が裏切られたり、ショックな出来事があるかも。アクシデントや災難に注意を。固定観念を打ち破るという意味も含んでいます。
大きな星を中心に七つの星が取り囲んでいます。地上では一糸まとわぬ女性がツボから惜しげもなく水を注ぎ込んでいる姿が。
星は古来、希望の象徴でした。未来への希望や純粋な願いを示します。清らかさや友情、未来の可能性を暗示しているカードです。

月の下では2匹の獣が遠吠えをし、沼には月の支配を受けていると言われるザリガニが。
まばゆい太陽の光の下では決して浮かび上がってこないとりとめのない夢想や幻想、そして憧れや妄想などが闊歩する世界。危険や苛立ちや夢想、不安定さなどを表します。
太陽の光はすべてを照らします。明確な意識が芽生え、健全な心が育っていくでしょう。
あなたのなかで迷いが消え、恐れもなくなり、ストレートに自分のしたいことを行っていける準備が整ったことを暗示しています。成功や名誉、娯楽や素直さを意味します。

キリスト教で世界の終わりの時には神が善と悪との最終決算をするという「最後の審判」を描いたものでしょう。
時が満ちて準備が整ったこと、新しいインスピレーションが湧いてくるという暗示です。復活という暗示もありますが、何かが変わっているはずです。
宇宙的な秩序が回復された状態を示します。ものごとの完成や成就を表します。

あなたは、身体を持っています。
でも、身体が、あなたではありません。
あなたは、感情を持っています。
でも、感情が、あなたなのではありません。
あなたは、知性、精神を持っています。
でも、知性や精神が、あなたなのではありません。
あなたは、霊性を持っています。
でも、霊性が、あなたなのではありません。

あなたは、この4つの面を持った存在です。
これらの4つの面を意識的にコントロールし、
バランスをとることができるようになると、
自分の望む人生をつくりだすことができるようになります。
●タロットの世界では、人生をドライブにたとえると、
車種が現実的・物質的な面、ガソリンなどのエネルギー源が感情的な面、運転技術が知的・精神的な面、目的地が霊的な面に関係すると考えられています。
楽しいドライブをするためには、車種、動力源、運転技術、目的地のバランスをとる必要があるように、心地よく実り多い人生を送るためには、物質的・現実的な面、感情的な面、知的・精神的な面、霊的な面のバランスをとる必要があります。
カバラやグノーシス等、西洋神秘学の体系を図示した「生命の樹」に沿って作られているタロットカードには、創造や魂の成長のための知恵が秘められています。

私達の良きアドバイザーになってくれるカードたち。
一枚、一枚のカードが語ってくれる物語を紹介していきます。
カードたちが与えてくれるメッセージが、あなたの気付きのきっかけになりますように。
バランスや充実といった意味も。最高の吉カードとされていますが、一方でマンネリや硬直化という暗示も。出来上がった世界にどれだけ新しいエネルギーを迎え入れるかが課題です。
● タロット占いで使う用語
デッキ・・・タロット78枚一組のこと。

デック・・・本来デッキとほぼ同じ意味。筆者の文章群では、大アルカナ・小アルカナを分けた場合と、一組の大部分の束を指すときにデックと書くことにする。

パケット・・デックを幾つかに分けた一部分を指す。

パイル・・・テーブル上に置かれたパケットのこと。

スート・・・小アルカナの四つのマーク(象徴)のこと。今後統一して、棒・聖杯・剣・貨幣と書く。
シャッフル・・・デックを掻き混ぜること。

カット・・・本来の意味は、デックを二つに分けること。タロットでは、『三つにカットする』などの書き方をします。この場合はデックを三つに分けることを指し、分けたカードは次の指示があるまで重ね合わせてはいけません。

トランプ・・・タロットでは大アルカナを指す場合にトランプと言うことがある。トランプとは『切り札』の意味で、厳密には『THE FOOL』を指すのであろう。(当サイトでは、大アルカナの書きます)

ナンバーカード・・・小アルカナの1から10までの数札のこと。ピップカードとも言う。

コートカード・・・小アルカナの宮廷カードのこと。

スプレッド・・・カードを展開すること、又は展開する配置法のこと。

ポジション・・・スプレッドによってカードが配置される一つ一つの場のこと。

リーディング・・・スプレッドされたカードを読み解くこと。

ウィッシュカード・・・タロット78枚の中で、素晴らしい吉兆を示すカード。伝統的には、大アルカナ『THE WORLD』(世界)と小アルカナ『貨幣のA』と『聖杯の9』の3枚を指しますが、占い師によって他の3枚を指定している場合もあります。
●タロット占法について
まずは占う
 タロットカードの枚数は大アルカナ22枚+小アルカナ56枚。計78枚である。タロットで占いを行うには、これら78枚の意味するところを知り、習熟しなければならない。これがまた、途方も無く気の遠くなるような作業なのだ。何故ならこの作業は、タロットを扱うものとして生きる限りは、その生涯を通して行わなければならないものだからだ。
 タロットの解説書を見てみると、1枚のカードに対して数十個の意味が書かれている。少なく見積もって15個としても、15×78=1170もの意味を覚えなければならなくなる。では、苦労してでも1170の意味を覚えれば、それで終わりなのだろうか?
 甘い!
 我々が行う作業とは、解説書に書かれているタロットの意味を暗記することではなく、例えば分厚い国語辞典のア行の単語からワ行の単語までの全てを、タロット78枚のいずれかに割り当てていくような代物なのだ。勿論その国語辞典が終わったとしても作業は完了しない。次ぎから次ぎへとタロットへ割り当てるべき事象は湧いてくるのだ。こんな作業、一生涯かかっても終わるはずが無い!
 なので、カードの意味するところの学習は、タロットの使い手が今後ゆっくりと学んでいけば良い。
 占いを覚えたければ、カードを覚えるよりも、まずは解説書を片手にして占ってみることだ。

 タロットを用いる占いは、占い師各々によって多くの方法が実践されている。占う前の準備から、シャッフルの方法、スプレッドの仕方、

リーディングに至るまで、10人の占い師がいれば、10様の仕方がある。
 占いに関する方法や手順は、占い師自身が最もしっくりくる方法を探すか、または開発する必要が出てくる。勿論その為には、既存の多く

の方法を学び、実践検証を行う必要があるが、それは占いそのものを学ぶ過程なので、今は特に難しく考える必要も無いだろう。
 ここでは、タロット占いに関する初学者にもお勧めできる、簡単な占い手順を紹介しよう。

タロットの下準備
 購入後未使用のタロットや、誰からか譲られたタロットを使用する場合、占いを始める前に下準備となる儀式を行う場合が多い。
 タロットの浄化・聖別の儀式だ。
 浄化とは、それ以前にタロットについた塵情報をクリアしたり、前使用者の影響をノーマルにしたりする作業だ。オカルティズムな言い方をするなら、穢れを払う行為である。
 聖別は、見えざることを占うタロットに、そのエネルギーを充填すること、または他の世俗的なものと分け隔て、聖化することと考えれば良いだろう。
 これらの作業を行う時、人によっては特別な言葉や所作を用いる場合もあるし、人によっては簡単な手順で済ませる場合もある。勿論、人によってはそれらの儀式を省略する場合もあるが、それらも特に決まりごととして存在するものではないので、自由であると考えよう。

 ここでは、まず簡単な方法で浄化と聖別を済ませる。
 オカルト的な要素を少なくする場合、用意するものはやわらかい布(ガーゼなど)と蝋燭だけで十分である。浄化の方法は、カード一枚一枚をやわらかい布で優しく丹念に拭く。奇麗にするという行為そのものが、浄化のシステムとなる。聖別の方法は、蝋燭に火をつけ、その火の上方にカードを通すだけである。これは一枚一枚行いつつ、挨拶するような心持ちでカードに目を通す。聖別したカードは今後可能な限り特別扱いしなければならない。そのカード専用の丈夫な箱や、奇麗な布袋に入れて保管しよう。

 さて、何故タロットを扱う前に、このような手間を掛けなければいけないのだろうか?
 その答えを知らなければ、どのような小難しい儀式を行ったとしても満足な効果は得られないだろう。
 浄化や聖別といった行為が影響を与えるのは、必ずしもタロットカードばかりではない。これらは、その儀式を行った本人、カードを扱う本人にも影響を及ぼすのである。
 浄化や聖別の儀式は、カードに施されると同時に、自分自身にも施される。そうすることによってカードを扱うものは、占いを行うのに邪魔な雑念や私感情を退け、占いを行うのに必要な意識や集中力、洞察力の向上を促すことが出来るのである。
 浄化や聖別の儀式が多種多様な理由はここにあると言って良いだろう。どのような儀式であっても、自分の意識を変化させることが出来ないのであれば、全く無駄なものになってしまう。逆に簡単な方法であっても、それによって自分の意識を大きく変化させることができるのであれば、充分に効果的である言える。

 更に集中力を高めたいと思うのであれば、少し目を閉じて瞑想などをしても良いだろう。その際は呼吸に意識を置くと効果的である。
四つ数字を数えながら苦しくならない程度に息を吐く。息を止め四つ数える。四つ数えながら息を吸う。息を止め四つ数を数える。これを繰り返すと良い。決して苦しくならないように、楽に呼吸をする。しだいにリズムが安定し、そのリズムの安定が精神の安定を促す。

占いの準備
 さて、タロットカードの前準備と、自分自身の前準備が終わったところで、早速占いを行う手順に入ろう。
 まず、手を洗う。カードは傷みやすい。今後長く付き合っていくものだから、丁寧に扱っていこう。
 カードを並び替える。新しい占いを始める度にカードの順番をリセットすると、以前の占いの影響を無くすことができる。簡易的な浄化のようなものだと考えれば良いだろう。又、前の占いと同じカードが出ないようにする工夫でもある。
 カードの並べ方は各占い師によって若干差異はある物の、大体トップから大アルカナを順番に並べ、小アルカナを棒・聖杯・剣・貨幣の順で数は小さい順に並べるのが一般的である。この順番を並び替える行為は、中々集中力が要るもので、占う前の精神集中の役割も果たしている。

 シャッフル。今回は誰を占うにしても、シャッフルは占い師本人が行うものとしよう。馴れてきたらクライアントにシャッフルさせても良いが、一通りの手順が自分の手に染み込むまでは、自分の手で行いたい。
 まず、現在・未来のことを占い場合は、机の上で時計回りにシャッフルを行う。タロット78枚全てを使う場合かなり場所を取るはずなので、慎重に且つ良く混ざるように丹念にシャッフルしよう。過去のことや隠された心の問題を占う場合は反時計回りにシャッフルする。
よく混ざったと思ったら、78枚のカードをまとめ、手に持ってシャッフルする。
そしてカット。カードを3つのパイルに分ける。そして順番が同じにならないように重ね合わせる。

 シャッフルやカットに関しては、色々と工夫が出来る。
 例えば、テーブルに広げて掻き混ぜるシャッフルの方法に関して、時計回りを現在・未来、反時計回りを過去・心理としたように、シャッフルの仕方やカットの仕方に意味を加えることが出来るのである。
 私が手に持ってシャッフルする時は、黄道12宮サインに習い12回だけである。
 カットの時は、三つのパイルを過去・現在・未来に分け、占う主題の時間をトップに持ってくる重ね方をする。
 占う相手にカードをシャッフルさせ、その様子を観察することで、相手が占いについて協力的か否定的かを探ることも出来る。
 これらの工夫は、簡単な手順に馴れてきた段階から、徐々に試してみると良いだろう。

さて、何はともあれ占いの準備は終わった。早速次項から占いに入ろう。
正逆の解釈
 カードの解釈において、正位置・逆位置という概念があることはよく知られている。市場に出回っているタロットの解説書でも、各カードで正位置の意味と逆位置の意味とを書いてあるものが大半である。
 確かにタロットは、正位置で出た場合と逆位置で出た場合では、意味する所が違ってくる。しかし、初学者がよく勘違いしがちなのだが、正位置であろうと逆位置であろうと、本質的には同じ一枚のカードであることを、忘れてはいけない。ともすれば、同じカードでも正位置と逆位置では全く別のカードになったかのような錯覚をしてしまいかねない。

 さて、勿論初学者の場合は、カードの正逆を意識して学んでいくのは全く問題無い。しかし、予め意識しておきたいのは、カードの正位置と逆位置は、同じカードの別々の側面である、と言うことである。

 同じカードでも正位置では良い意味だが、逆位置になると悪い意味になることがある。これは、そのカードの性質が、良く現れた場合と、悪く現れた場合を意味している。これをカードの品位とか、美徳・悪徳の差と言ったりする。
 例えば、『力』の性質が良く現れれば、困難に耐え、敵を打ち破り、成功を手にする強さを意味するだろう。しかし、性質が悪く現れれば、人を傷付け、支配し、今まで築き上げてきたものを破壊する暴力を意味することになる。 また例えば、『死』の性質が悪く現れれば、不幸な死、悲しき別れ、絶縁を意味するが、性質が良く現れれば、再生(誕生)、整理、新しい段階へ至る等、『死』の恐ろしげなイメージからはかけ離れたような解釈になる。
 正逆で解釈した場合は、正位置で出た時に、そのカードの良い解釈。逆位置で出たときにそのカードの悪い解釈をするのが一般的である。(『死』や『悪魔』などは例外であるが)
 しかし、占断を行う場合、正逆だけで性質の良し悪しを判断しようとすると、希に意味が通らず、矛盾が生じ、解釈が膠着(こうちゃく)してしまう場合がある。
 それは、占断の際に、展開されている他のカードから影響を受けているからである。占断の際に展開された全てのカードは、一枚一枚独立しているのではなく、全体で一つの答えを物語っている。全てのカードは、他のカードから影響を受け、その性質を大なり小なり変化させているのだ。
 例えば、スリーカードスプレッドを行って、始めの2枚は良い意味合いを持っているのに、最後のカードだけが凄く悪かったらどうだろう。現在は凄く順調なのだが、最後には不幸が訪れると解釈するのだろうか?
 この場合、カードの流れから見て、最後のカードの性質を良く読み取ったほうが正しい。又は、最後のカードに合わせて、他の2枚のカードの性質を落して読むべきである。

 この様にタロットは、正逆に捕らわれずに、性質の良し悪しで解釈できると、占断の際にはとても便利なのである。また、カードを記憶する際にも、正逆を覚えなくても良くなるので、覚えやすくなるのだ。要は、一枚のカードの性質だけを覚えれば良い。
 このサイトでは、タロットカードの解説で正逆の説明をしていない。多少触れている所もあるが、基本的にはカードの性質を説明し、その美徳・悪徳を解説している。
 初学の方にも、始めのうちは正逆を意識して学ばれた後、慣れてきたら正逆にとらわれず解釈する方法をお勧めしたい。簡単に考えれば、解説書の正位置の部分と、逆位置の部分を混ぜて覚えてしまえば良いのだ。後は占断の行う際に、良く解釈すべきか、悪く解釈すべきかを判断する力を養えば良い。
 尚、カードの性質が悪く出る場合(悪徳)は、殆どNOT系ではないことに注意。例えば、『力』のカードが逆位置・又は悪い性質を持ったとしても、『無力』を意味することは少ない。大体は、性質が過剰になった場合か、弱体化した場合を意味している。
 安直なNOT(〜ではない)系解釈には要注意。

占断の練習方法@ 仮想人格
 タロット占いによって他人を占えるようになるまでには、充分な量の学習と訓練が必要となる。勿論、訓練の為に他人を占う実践を行うのは大切なことだが、占いがクライアントに与える影響を考えてみれば、最低限でも悪影響を排除できる位のレベルには達していたい。
 これは外科医に例えることが出来る。確かに手術は、実践を行わなければ上達しないだろう。しかし、外科医はいきなり生きているクランケに、メスを入れたりすることは無い。先ずは、検体と言われる医学推進の為に提供された遺体にメスを入れることから始まるのだ。
 占い師を目指す人物も、まずはその段階から入った方が、やはり安心である。

 『自分のことを占うことが出来ない』と言う占い師がいる。これは、占断の際の客観性が失われることに大きな理由がある。自分のことを占うのは確かに難しい。その反面、自分のことを客観的に占えるようになれれば、もはや初級者ではないと言える。(初心者は大抵、主観的にリーディングしてしまい、『占えている』と思ってしまうので注意が必要。)
 自分のことを占うのは難しい上に、他人を占う訓練としては余り適してはいない。
 そこで特別な方法を用いて、仮想クライアントを作り上げ、他人を占う訓練をする方法を紹介しよう。
 要は、仮想として人物(人格)を作り出すわけだが、ただ頭に思い浮かべただけでは、具体性が無く、また客観性も無くなってしまう。
 そこで先ず、性別、出生年月日、出生地を決める。もし、占星術に関する基礎知識を持っているなら、そのデータを基にバースチャートを作成する。

 バースチャート:出生年月日と出生地を元に作成したホロスコープ
 最近では、ホロスコープを作成するソフトウェアが、インターネット上でフリーで手に入るので、占星術の知識の無い人は、是非とも入

手して活用していただきたい。
 さて、性別・出生年月日・出生地を決め、仮想クライアントを生み出すわけだが、まず始めは自分に近い歳のクライアントを作るところから始めよう。
 というのは、占断を行なう際はタロットからの情報だけではなく、今までの自分の経験を参照することが多いからである。まずは、自分に比較的近い境遇の(仮想)人物を占うことによって、自分の経験や知識を上手く占断に活用できるように訓練しよう。
 まず年齢は大体自分と同じような所を設定する。
 占い師が1972年頃に生まれている場合、1973年や1971年を設定しよう。月日はランダムで構わない。性別は自分と同じに設定する。しかし出生地は自分と同じでは無い所を設定。
 さて、バースチャートが完成したら、そのチャートから探る事のできる(仮想)クライアントの性質を調べよう。そしてその性質からイメージ像を作り上げる。可能なら名前を考える。
 これらの作業をこまめに行なえば、占断の訓練の際に具体的な答えを得られる。
 さて次に、現在の(仮想)クライアントの生活環境を考える。先ずは住まいと仕事、家族関係、恋人が居るか等。始めは住まいを自分と同じ土地にする方が良い。その他仕事などは自由に決めよう。
 さて、しっかりと(仮想)クライアントが成立し始めたら、早速占ってみる。
 実際目の前に、クライアントが真剣な面持ちで座っている様をイメージして占うことが大切である。そしてそのクライアントに説明するように声に出して占断を行なおう。声に出す事が非常に重要だ。占いの答えが分かっても言葉に出来ないというのは良くあることなので、表現力を鍛えるつもりで作業しよう。
 さて、占いが終わったら、クライアントの現在のホロスコープを作り自分の占いの結果と照し合わせる。もちろん全部的中するわけはないが、いろいろと自分の占断の弱いところに気が付くだろう。
 この作業を何度も繰り返すのだ。

 この作業を行なうには、占星術のチャートを作成してくれて、更に簡単な占い結果を出してくれるソフトが必要になる。こらら便利なソフトはインターネット上にあるので是非とも探して頂きたい。
 徐々に慣れてきたら、歳や住まいの離れた仮想クライアントを作り上げ、同じような事を繰り返すことで更なる上達が望める。 3ヶ月位この訓練を行なったら、少しずつ生身の人間を占う機会を増やしていき、他人を占う力を鍛えていくと良いだろう。 この方法は色々な応用が効くので、各人のアイデアで試して頂きたい。例えばその仮想人格の名前の画数を占ったり、生年月日から占うことのできる数秘術などを使って、自分の占いの的中率を量っても面白いかもしれない。 名前の画数や、数秘術に関してもネット上で診断できる。
 以上は、いずれ占い師としてクライアントを取ることを前提に学んでいる人に、是非ともお勧めしたい訓練法である。