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決算書というと「難しそうだ」と敬遠しがちですが、それは余計な部分まで目がいってしまって複雑に考えすぎているからだと思います。 基本的に決算書で注意しなければならないことはあまり多くありません。 ここでは中でも特に重要な3つのポイントに絞って書きますが、これさえ押さえておけば大丈夫です。 これは、決算書の中に含まれている貸借対照表を簡単な概念にしてみたものです。 貸借対照表を左側(資産)を2つ、流動資産4500・固定資産5500。 右側(負債・資本)を3つ、流動負債3200・固定負債4000・資本金2800の5つのパートに分け、全体の配分を金額比であらわしました。 貸借対照表はパターンでとらえる(貸借対照表) それぞれの数字があらわしているのは、左上が流動資産、左下が固定資産。 続いて右側の上が流動負債、中が固定負債、下が資本金です。 細かい勘定科目で見るのではなく、苦手な人も得意な人も、とりあえずはパターンでとらえるのがコツです。 示した貸借対照表は、100点満点でいうと、70点ぐらいでしょうか。 貸借対照表のオーソドックスな見方にしたがって、ポイントを解説しましょう。 @流動資産と流動負債の関係 流動資産と流動負債の比率が2‥1になっていると、理想的といわれている配分です。 なかなかここまでになっている会社というのはないのですが、最低でも、「流動資産>流動負債」になっていてほしい。 なっていなければならないと思います。というのも、このバランスが表現しているのは、当面の決済能力なんです。 実際に決算書で流動資産の内容を見てみると売掛金とかが入っているからわかると思いますが、流動資産とは比較的短期のうちに現金になる資産のこと。 一方の流動負債は、近々支払わなければならない債務のことです。 近々支払予定の額と、近々現金になる資産の額を比べたとき、もし、支払予定額のはうが多かったら、仕入のカネが払えないことになります。 理想は、流動資産は、流動負債の2倍。だけど、なかなかそこまでの会社はありませんから、せめて流動負債以上のものは持っていましょう、ということなのです。 A固定資産(設備とか不動産)と資本金面関係 理想を言えば、資本金で設備投資がすべて賄われていたら、きっと借金も少ないでしょうし安定しています。 だから、「固定資産∧資本金」であればすばらしい。 しかし、中小企業でそんな会社は残念ながら、そうはありません。 もう少し条件を緩くして考えます。「固定資産と(固定負債+資本金)」の関係で見るわけです。 固定負債というのは、返済期間で1年を超える借入金のことをいいます。 つまり、資本金だけで足りなきや固定負債(つまり長期の借入金)も加えようというわけで、その資本金と固定負債の連合軍と固定資産を比べるわけです。 固定負債というのは、負債は負債でも、長期間かかって返済すればいい、まあいってみれば安定的な資金です。 「固定資産<(固定負債+資本金)」で収まっているのなら、とりあえずはいいだろうと考えるわけです。 会社の固定資産は資本金より大きいから、これだけ見たら×。しかしながら、固定負債も合わせた額と比べたら○。 みなさんの会社の場合もたぶん、同じで、資本金と固定負債を足さないと固定資産の額より大きくはならないと思います。 それでも固定資産の額のほうが大きかったら、長期借入金を増やすことで財務を安定させるなどの戦略が必要になってきます。 ただ、あまり借入金を増やしすぎると、その分金利負担も増えます。本業の利益を食ってしまうような金利にならないようにしてください。 B総資産と資本金との関係 右側の合計額は、「総資産」を意味してます。この場合は5ですね。 右下は、自己資本。こつちは1です。 総資産に対する自己資本の割合を計算してみると、この会社は20%になります(計算式は、1÷5×100)。 ところで自己資本比率20%っていうと、厳しい人は「少ない」と思うかもしれません。 でも、中小企業の現状を踏まえた上であえていうと、これでもそんなに悪くはないと思います。 それに業態によっても差があり、そういう意味では一概に基準を設けることはできません。 一般的な財務評価として、自己資本比率が30%以上なら合格ということになっていますが、小さな会社の実態では、合格点がとれている会社は少ない気がします。 決算書の必勝パターンは、以上3つのポイント (@流動資産 流動負債、A固定資産 (固定負債+資本金)、B総資産に占める自己資本の割合)です。ちなみに70点といいましたが、これから初めて銀行借り入れするならこれで十分。 まずここまでもっていくこと。これから財務を考えていこうという会社は、とりあえず、この3つの視点だけ気をつけること。 この3つのポイントを改善するための具体的なアクションを次に考えましょう。 |