借りられる決算書を作る3つのポイント 決葦というと「難しそうだ」と敬遠しがちですが、それは余計な部分まで目がいってしまって複雑に考えすぎているからだと思います。 基本的に決葦で注意し誇ればならないことはあまり多くありません。ここでは中でも特に重要な3つのポイントに絞って書きますが、これさえ押さえておけば大丈夫です。 これは、決算書の中に含まれている貸借対照表を簡単な概念図にしてみたものです。 貸借対照表を左側(資産)を2つ、流動資産4500・固定資産5500。 右側(負債・資本)を3つ、流動負債3200・固定負債4000・資本金2800の5つのパートに分け、全体の配分を金額比であらわしました。 |
■借りられる決算書 社長は必読!すべては決算書で決まる 貸借対照表はパターンでとらえる (貸借対照表) 社長は必読!すべては決算書で決まる それぞれの数字があらわしているのは、左上が流動資産、左下が固定資産。 続いて右側の上が流動負債、中が固定負債、下が資本金です。 細かい勘定科目で見るのではなく、苦手な人も得意な人も、とりあえずはパターンでとらえるのがコツです。 図喪−に示した貸借対照表は、100点満点でいうと、60点ぐらいでしょうか。貸借対照表のオーソドックスな見方にしたがって、この図のポイントを解説しましょう。 @流動資産と流動負債の関係 図表2は、流動資産と流動負債の比率が2‥1になっていて、理想的といわれている配分です。 なかなかここまでになっている会社というのはないのですが、最低でも、「流動資産∨流動負債」になっていてほしい。いや、なっていなければならないと思います。 というのも、このバランスが表現しているのは、当面の決済能力なんです。 実際に決算書で流動資産の内容を見てみると売掛金とかが入っているからわかると思いますが、流動資産とは比較的短期のうちに現金になる資産のこと。 一方の流動負債は、その道で、近々支払わなければならない債務のことです。 近々支払予定の額と、近々現金になる資産の額を比べたとき、もし、支払予定額のはうが多かったら、仕入のカネが払えないことになります。 理想は、流動資産は、流動負債の2倍。だけど、なかなかそこまでの会社はありませんから、せめて流動負債以上のものは持っていましょう、ということなのです。 A固定資産(設備とか不動産)と資本金面関係 理想を言えば、資本金で設備投資がすべて賄われていたら、きっと借金も少ないでしょうし安定しています。だから、「固定資産∧資本金」であればすばらしい。 しかし、私の見たところ、中小企業でそんな会社は残念ながら、そうはありません。 そこで、もう少し条件を緩くして考えます。「固定資産と(固定負債+資本金)」の関係で見るわけです。固定負債というのは、返済期間で1年を超える借入金のことをいいます。つまり、資本金だけで足りなきや固定負債(つまり長期の借入金)も加えちゃえ、というわけで、その資本金と固定負債の連合軍と固定資産を比べるわけです。 固定負債というのは、負債は負債でも、長期間かかって返済すればいい、まあいってみれば安定的な資金です。だから、「固定資産∧(固定負債+資本金)」で収まっているのなら、とりあえずはいいだろうと考えるわけです。 ちなみに、3の会社の固定資産は資本金より大きいから、これだけ見たら×。しかしながら、固定負債も合わせた額と比べたら○。 みなさんの会社の場合もたぶん、図表3と同じで、資本金と固定負債を足さないと固定資産の額より大きくはならないと思います。 それでも固定資産の額のほうが大きかったら、長期借入金を増やすことで財務を安定させるなどの戦略が必要になってきます。 ただ、あまり借入金を増やしすぎると、その分金利負担も増えます。本業の利益を食ってしまうような金利にならないようにしてください。 G総資産と資本金との関係 4を見てください。右側の合計額は、「総資産」を意味してます。この場合は5ですね。 右下は、自己資本。こつちは1です。 総資産に対する自己資本の割合を計算してみると、この会社は20%になります(計算式は、1÷5×100)。 ところで自己資本比率20%っていうと、厳しい人は「少ない」と思うかもしれません。でも、中小企業の現状を踏まえた上であえていうと、これでもそんなに悪くはないと思います。それに業態によっても差があり、そういう意味では一概に基準を設けることはできません。 一般的な財務評価として、自己資本比率が30%以上なら合格ということになっていますが、小さな会社の実態では、合格点がとれている会社は少ない気がします。 決算書の必勝パターンは、以上3つのポイント (@流動資産 流動負債、A固定資産 (固定負債+資本金)、H総資産に占める自己資本の割合) です。ちなみに図表1は60点といいましたが、これから初めてビジネスローンを借りるならこれで十分。まずここまでもっていくこと。これから財務を考えていこうという会社は、とりあえず、この3つの視点だけ気をつけること。 この3つのポイントを改善するための具体的なアクションを次に考えましょう。 社長は必読!すべては決算書で決まる 経営者の多くは、買った設備の耐用年数を見誤ったまま損得を考えているように思えます。 減価償却費は、法廷耐用年数ではなく経済耐用年数でなければならない。 法廷耐用年数を使って作成された決算書は、業績を映す鏡ではなく、単なる税金計算書に過ぎません。 経営者がするべき管理というのは、単に試算表を早く作成する体制をとるといったことではなく、本質的には、こういうところにあります。 経営者は租利しかみないなんて乱暴なことを言う人もいますが、たとえ頭の中の損得勘定でも、経営者が経済耐用年数ベースで費用を正確に把握していたら、その読みは試算表や決算書よりも正確なものなのです。 税法は税法、会計は会計 税法にのっとって作成した決算書や試算表の弊害はほかにもあります。 たとえば、賞与引当金がそれです。 みなさんの会社の試算表に、賞与引当金は含まれているでしょうか? これは私の推測ですが、ほとんどの会社の試算表からはいま賞与引当金は無くなっていると思います。理由は簡単で、税法では賞与引当金が廃止されたから。ちなみに、退職給与引当金も既に認められなくなっています。 しかし、経営をする上で賞与を支払ったり退職金を支払ったりということは当然に発生してきます。このような費用は、たとえ一時に支払うものであっても毎月の経費として計上し、把握したほうが経営上確実であることはいうまでもありません。 このほか、貸倒引当金にも税法の解釈と現実とのズレがあると思います。 実は貸し倒れに関する税務処理は最近厳しくなっていて、相手の破産状態を法的に証明できるものがないと損失処理が難しくなっています。 そういえば最近、私のクライアント、L社の決算打ち合わせの席上、税理士とこんなやりとりになりました。 実はL社、大口の貸し倒れを抱えているのですが、相手は破産などの法的な措置を未だとらず、どっちつかずの状況になっています。 「破産したという確たる法的根拠がないと、貸し倒れでは落とせないんですよ。 でなければ、こつちから債権放棄の書面を出すしかない」 と税理士。 「いや、そんなの出せないよ」 簡単に回収できるとは思えませんが、債権放棄の書面なんてとんでもありません。なにしろ感情面でもしこっている相手なのですから、そんな免状なんて出したくもない。 そう言うと、「じやあ、落とせませんね」。 「でもさ、それって税法上経費として落とせないって詣でしょう。だったら会計上は落とす。それでいいんじゃないの」 「まあ、いいですけど…」 「税金関係のみ、別表で調整してよ」 でも、こういうやりとりがないと、「これは落とせないから」という理由で決算書にそのまま残ってしまう。きっと多くの中小企業ではそうなっていると思います。それでは決算書が現実を映す鏡とは言えなくなります。本当は損しているのに、それが繰り延べられてしまうのですから。 何度言うようですが、税理士任せの決算書は、税法で定められた規則ですべて仕切られています。会社本来の姿を反映した決算書にするためには、あくまで現実に即した形で処理することがコツなのです。 いくらまでなら借りていい? ビジネスローンで失敗しないためには、銀行が提示する借入限度ではなく、自分自身で体力に見合った借入限度を設定し、それをきちんと守る意志が必要です。 世の中の経営者には、銀行が貸してくれるのなら借りておこうか、という発想の方が少なからずいらっしやるのですが、家族と従業員を守りたかったらそういう発想は捨てることです。 借金は、必要なときに最小限の金額を借りるのが原則。 必要もないのに、ホイホイ借りたら、決算書はあっという間に汚れ、借りられない決算書になり果てます。これは間違いない。 lビジネスローンの賢い借り方・使い方 では、ひとつの会社がしてもよい借金の上限とは果たしていくらなのか? これにはいくつかの考え方があるし、どれが正しくてどれが間違っているというものではありません。 たとえば、かつては月商の何カ月分、という考え方が主流でした。卸売り・小売り業の場合は月商の3カ月分、製造業の場合は6カ月分をひとつの目安とする考え方です。これはいまでも、あらゆるところで使われています。 これに対し、最近の銀行では、総資産をベースにした考え方も増えてきました。この考え方での目安は総資産の6割です。そのルールでいくらまでなら借金できるか計算する簡単な方法があります。 @総資産からすべての借入金の額を差し引いた金額を計算する A@で計算した金額を1・5倍します |