●糖 尿 病の追放● 日本の糖尿病の患者数は約690万人。予備軍を含めると1300万人を超えるといわれています。かつては成人病と呼ばれていましたが、今では子どもから20代の若者にも増えている、生活習慣病のひとつです。糖尿病とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度、つまり血糖値が高くなる病気です。血糖値が高くなると血がベトベトしてきて、さまざまな合併症を引き起こす原因ともなります。毛細神経に障害をもたらすので、神経障害になったり、網膜症で失明したり、肝不全を引き起こす可能性もある恐ろしい病気なのです。人間は身体のエネルギー源として、食物に含まれている糖質が必要です。糖質は小腸でブドウ糖となり、血液に送られます。そうすると、血糖値が上昇しますが、このとき、すい臓からインシュリンが分泌され、血糖を筋肉や肝臓ヘエネルギーとして振り分け、血糖値を下げます。 しかし、糖分の高いものばかりをだらだらと食べてると、絶えず血糖値が上がってしまって、インシュリンが分泌されっぱなしになってしまいます。その状態が続くと、少しのインシュリンでは血糖値を下げることができなくなり、さらに多くのインシュリンが分泌されるようになります。 そのうちに、大量にインシュリンが分泌されているのに血糖値がなかなか下がらない、U型糖尿病(インシュリン抵抗性)という状態になります。そうなると、常に血液中のブドウ糖が多くなり、全身の血液循環が悪くなります。ついには、まったくインシュリンが分泌しなくなり、T型糖尿病(インシュリン依存性)になってしまいます。こうなると、血糖値が上がりっぱなしの状態になってしまうので、食事のあとにインシュリンの注射を打って、血糖値を下げなくてはならなくなります。 このように、糖尿病は食生活やインシュリンの分泌量と深く関わっています。 血糖値の上昇を抑え、インシュリンが大量に分泌しないようにバランスのとれた食生活を提唱する低インシュリンダイエットは、糖尿病予防にも役立ちます。インシュリン分泌を抑えるので、糖尿病の方の症状がよくなったというアメリカの報告もあります。糖尿病治療中の人や糖尿病の心配がある人が低インシュリンダイエットをはじめる場合は、まずは主治医に相談しましょう。 ダイエットの効果には、代謝が大きく影響してきます。 簡単にいえば、代謝とは、食べた食物が体内で消化吸収され、その栄養素がエネルギーや身体の組織を作る材料に変換することをいいます。そのなかにはl一つの作用があります。 ひとつは同化作用で、栄養素が血液や骨、筋肉、ホルモンなど、身体の組織を構成したり、修復するために必要なものに変わる化学反応のことです。 もうひとつは異化作用といい、組織のいり、さまざまな活動のためのエネルギーとして使わせる作用です。心臓が動いたり呼吸をしたりしているときの基礎代謝や寝ているときの睡眠代謝、活動中の活動代謝など、いろいろな代謝があります。筋肉質の ほうが、基礎代謝が大きいので、エネルギー発散が多く、太りにくい体質になります。 食事をしたときの、食物の消化吸収過程での熱の発散も代謝のひとつで、D−T(食事誘導性体熱産生)といわれます。おいしく食べる、たんばく質を多く食べる、などでD−Tを高めるとダイエット効果も期待できます。金子みすず 糖賀制限食が効く理由 つまり、人類は四〇〇万年の歴史のほとんどにおいて糖質に頼って生きておらず、本来は、穀物を主な食料とするような動物ではなかったということなのです。 こう考えてくると、穀物を食べないということは、八という動物にとってそれほど特異なことではなく、特に糖尿病の人にとっては自然なことだとさえいえます。 ましてや、血糖植を急激に上げてしまう精製炭水化物中心の現代の食生活は、脆弱な糖質代謝のシステムをフル回転させて生きようというのですから、人体の特質から考えれば、異常だというほかはないでしょう。 穀物を食べることが不可欠だという感覚は、歴史的な先入観であり、幻想に過ぎないのです。 中性脂肪は下がり、善玉コレステロールは増える 糖質制限食は医学的なデータから見ても、健康への支障が起こるような療法ではありません。 そこでこの項からしばらくは、糖質制限食をご紹介したときにしばしば出されるいくつかの疑問についてお答えすることで、このことを明らかにしていこうと思います。 まず、質問されることが多いのは、糖質制限食によって中件脂肪やコレステロールなどの状況が悪化しないかということです。 私たちの糖質制限食を極端にいえば、でんぷんや砂糖などは一切摂らなくていいというものです。 カロリー比率からもわかるように、糖質制限食では、結果として高脂肪、高たんばくとなるのですが、各種の検査の結果を見れば、これによって健康に悪影響が出るとは考えられません。 |
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